~野菜から食べる習慣 東京科学大が調査~
野菜を苦手とする子どもは少なくないが、食事を野菜からとると、子どもたちの心の健康に役立つらしい。東京科学大学の研究グループが、東京都足立区の約2600人の小学生で調べたところ、野菜を最初に食べる習慣を持つ子どもは、困難に直面しても立ち直る「レジリエンス」や自分を大切に思う「自己肯定感」が高いことがわかった。
不登校や引きこもりなど、学校や家庭で困難を抱えた子どもたちのメンタルヘルスの深刻化が近年、指摘されている。心理的なストレスに対抗するレジリエンスや自己肯定感をいかに育むかが、注目されている。
栄養バランスが良い食事が心の健康に良いことは知られているが、食べる順番が関係するかは十分に研究されてこなかった。
そこで研究グループは、足立区が将来の糖尿病の予防策として、10年以上前から進めている「ひと口目は野菜から(ベジ・ファースト)」という取り組みに注目。2015年に小学1年生だった2654人を6年生まで追跡し、野菜を最初に食べる習慣の変化に応じて、4グループに分けて調べた。
レジリエンスと自己肯定感は、国内外で使われている指標に基づいた質問に、保護者と子どもの肥満度、野菜の摂取頻度、もともとの子どもの心の状態などの影響を除く手法で分析した。
その結果、6年間にわたり継続して野菜から食べていた子ども(6.6%)は、その習慣が全くない子ども(55.8%)に比べてレジリエンスと自己肯定感のいずれも明確に高かった。野菜から食べる頻度が増えた子ども(31.7%)も、全くない子どもに比べ、少し高い傾向が見られた。研究グループのユパー・キン特任助教(公衆衛生学)は「家庭や学校で少し意識して工夫するだけですぐに実践できる取り組みです」とすすめる。
藤原武男教授(公衆衛生学)によると、野菜を先に食べることでレジリエンスや自己肯定感がなぜ育つのか、体内での詳しい仕組みはわかっておらず、今後研究を進めるという。「好きなものからではなく、野菜から食べるという『ちょっとした我慢』の積み重ねが自分の心を制御する力を育てている可能性も考えられる」という。
研究成果が小児科学の専門誌に掲載された。
写真:何から食べるか、指さす子どもたち=東京都足立区、藤原武男さん撮影
<参考資料:2026年5月4日 朝日新聞掲載 より>


